うまいこと言えない

あとから後悔するやつ

ADHDの私が簿記3級に合格するまで。

f:id:kktu:20180215112853j:plain

はじめに

ほぼ日手帳の記事でも少し触れたように、私はADHD双極性障害の診断を受けている。

紆余曲折あったけど、今はコンサータと諸々の向精神薬を服用しながら日々を面白おかしく過ごしているところ。

心療内科の先生にも止められた簿記の受験、今までどうやって勉強してきたのか少し紹介してみるよ。

当たり前のことをさも自分が見つけたかのように書いてあるけど、誰かの何かの参考になればと思ってる。

 

なんで簿記なのか

ADHD注意欠陥多動性障害、どこを取っても簿記の世界にとってデメリットでしかないこの特性。

数え間違い、桁間違いなんて序の口で、電卓使ってるのに四則演算間違えたりなんか日常茶飯事。

2桁以上の足し算ですら嫌になるのになぜ受けたのか。

それはADHDの人ならきっと誰もが感じるであろうこえられない壁を、少し和らげてみたかったからだった。

別に簿記取ってそれでご飯食べていこうっていうわけじゃなくて、単に自分の限界がどこまでなのか、見定めてみたかったというだけの話だった。

あとまあ暇だったっていうのもあったけど。

ちなみに簿記に関しては、会計の仕事をしているわけでも、専門的な教育を受けているわけでもない。

ずぶの素人である。

 

基本的なところから考える

学生の頃は勉強がとにかく苦手だった。

苦手、というより勉強とは何をすることなのかが根本的によくわかっていなかったんだと思う。

いい歳して何言ってんだって話だけど、本当にわかってなかった。

「勉強 方法」など最強に頭の悪いワードで検索をしていくうちに、勉強とは「覚える→思い出す」の繰り返しだということがなんとなくわかった。

わかったからといってできるかといったら別問題で、とりあえずザックリ勉強のスケジュールというものを立てるところからはじめた。

 

スケジュールを立てる

まずは3級に合格することを目標に、試験日から逆算して1ヶ月単位で何をどこまで進めるのかを決めた。

計画性の無さがADHDの特徴なので、とにかくハードルを下げて、通常の3倍から5倍時間がかかるものと見て、予定を立てた。

私が受けようと思ったのは2017611日に行われる第146回の試験。

3級は2週間勉強すれば受かるだとか、素人でも1ヶ月もあれば受かる、とか言われている。

簿記の勉強を始めようと思ったのは2017年の2月はじめ、だいたい4ヶ月あった。

4ヶ月の間にする勉強の段階を、インプット、アウトプット、試験対策、と大きく3分割して、どれにどのくらいの比重をおけばいいのかを考えた。

教科書と問題集は手元にあった(何事も形から入る)ので、だいたい1冊につき1ヶ月かかるかなあと見積もった。

教科書(インプット)1ヶ月、問題集(アウトプット)1ヶ月、次の1月を試験対策の時間に充てるとして、残りの1ヶ月はこの時はあまり深く考えずに、余白としておいておくことにした。

実際に立てたスケジュールがこちら。

 

2

教科書を読む、教科書の章ごとについている練習問題を解く。

読むだけでは頭に入らないので、重要なところはノートに一字一句丸写ししたり、部屋の中をウロウロしながら音読してみたりする。

教科書に飽きたら解説講座の動画を見て気を紛らわす。

 

3

教科書と連動している問題集を解く。

とにかく思い出す作業。

間違えてもいいので最後まで解いてみる。

間違えた問題には印をつけて、後日もう一度解いてみる。

 

4

試験対策。

過去問や予想問題などを解く。

あんまり細かいことは教科書と問題集が終わってから考える。

 

とまあこんな感じでざっとスケジュールを立ててみた。

大切なのは、このスケジュールを完璧にこなそうと思わないこと。

仕事や遊びで進度が予定より多少遅れてしまっても、あまり気にしないことにする。

 

やってみた

スケジュール立てるのはいいけど実際やってみると結構難しい。

めちゃくちゃやる気になる日もあれば机に向かいたくない日だってあった。

それでも一度目安としてスケジュールを決めて、終わりを作ると精神的にやりやすかった。

 

やってて気がついたこと

最初は「1日に○時間勉強しよう」と、時間で勉強量を図っていた。

そうすると「今日は○時間しかできてない」だとか「○時間もやったのに全然理解できていない」とか、ちょっとしたことで不安になったり、プレッシャーを感じたりする。

一時期スタ○ィプラスというアプリで勉強時間を記録していたけれど、他のユーザーの勉強時間と理解度に追いつけず、なぜ自分はうまくできないのかと自分を責め、ヒステリックになりかけた。

そこで私は時間で勉強量を図るのではなく、ページ数で勉強量を図るようにした。

すると「どれだけ時間をかけてもいいから、今日は○ページだけやろう」とか、「今日は○ページもやったからあとは明日に回そう」など、自分を追い込まないように考えた。

こうすることで1日にどれくらいの量がこなせるのか把握しやすくなったし、変なプレッシャーからも解放された。

また、明確に終わりを決めることで、ADHD特有の過集中をコントロールすることにも役に立った。

 

2ヶ月が経った

3月も終わろうとしている頃、私はまだ問題集の真ん中のあたりを解いていた。

教科書の進みはまあ読み通りだったけど、思ったより問題集に時間がかかっていた。

思い出す作業は自分が予想していたよりもしんどい作業だった。

間違えると気が滅入るし、なにより苦手な問題は嫌いなのでやりたくない。

だからといって放っておくわけにはいかないので、嫌いな分野の問題はとりあえず答えを丸暗記するところから始めた。

 

苦手分野の対策

一度苦手意識ができてしまうと、なかなかぬぐえない。

苦手な問題が出る気配がすると、体全体がそれを拒絶し、前に進まなくなってしまう。

大げさかもしれないけど、本当にそうなのである。

問題集で時間がかかっていた原因のほとんどがそれだった。

そこで私は、苦手な問題が出てきたときはとりあえず答えを写すようにした。

あー、これ苦手だわー、と思った瞬間、すぐに答えを見る。

もちろんどうやってその答えになるのかをきちんと確認もする。

それを数回繰り返していくうちに、同じような問題はこうやって答えればいい、というルールのようなものが出来上がっていく。

そして気がつくとそれは苦手ではなくなっていた。

 

問題集まで終わった

問題集が終わると4月下旬になっていた。

試験まで約1ヶ月半、残りの時間は試験対策に当てようと思い、過去問と予想問題を集めた。

いろいろ買ったりもらったりしていくうちに、10回分くらいの試験問題が集まった。

試験日まで6週間、1週間のうち勉強ができそうな日は5日前後。

11回分やるとして、30回分解けるので、3周はできそう。

 

意気込んで試験対策を始めたはいいけど

解けない、まっっっっったくわからなかった。

教科書や問題集に書かれていないことが平気ででてくる。

あまりにもひどいので教科書の出版社にクレーム入れようかと思ったくらい(すみません)

最初の2週間はほぼ答えの丸写しで終わった。

 

完全に自信を失っていた

もうとにかく嫌だった。

問題見ても解説見ても全然頭に入ってこない。

これがいわゆるスランプというやつなんだろうか。

1週間近く、ろくに机に向かえない日々が続いた。

でも簡単な仕訳問題や、教科書に載っている基本問題は解くようにした。

 

いい加減終わらせたい

試験日まで残り3週間が切ろうとしていた時、私はもう簿記から解放されたくて仕方がなかった。

受かっても落ちても、結果はどうだっていい、とにかく心置きなく遊びたい。

でも後悔はしたくない、だからもう少し頑張ってみよう、そう思い始めた。

嫌々ながらも試験対策を再開させ、焦らずに自分の出来る範囲で勉強を進めた。

 

きっかけは些細なことだった

試験対策を再開させた頃、某専門学校で簿記の無料模試が行われることを知った。

無料!行かずにはいられない!

当日会場へ赴き、少しドキドキしながら模試を受けた。

結果は58点。

簿記は70点以上で合格、12点足りなかった。

12点・・・仕訳問題3問分・・・・

ここで謎の負けず嫌いが発動し、俄然勉強する気になった。

絶対に受かってやる、教材代や受験料を無駄にしてたまるか(貧乏性)

足早に自宅へ帰り、早速机へ向かった。

 

勢いづいたらこっちのもの

仕事が比較的暇だったというのも相まって、とにかく問題を解きまくった。

結果を表にまとめて、どこの問題に出題される範囲が苦手なのかも分析した。

繰り返し勉強することで成績はどんどん上がり、失われていたモチベーションも取り戻せた。

試験日の1週間前に行われる公開模試というのにも参加した。

結果は89点。

合格ラインに到達していた。

ここまできたら100点で合格したいという欲が出てきた。

残りの1週間、さらに根詰めて勉強した。

自分はこれだけ勉強ができたのか・・・

なんでもっと早く気がつけなかったんだろう・・・

 

試験当日

もう怖いものはなかった。

まれに出題される変な問題が来ない限り、大丈夫だと確信していた。

むしろ早く済ませたい、そう思っていた。

試験問題は比較的簡単なものが出たので、早めに解き終わってしまった。

試験会場を後に、よく分からない疲労感と達成感で、駅のホームの椅子でしばらく放心していた。

 

合否速報、結果

合格してしまった。

嬉しさよりも安堵感が勝ってしまい、結果を見て大きなため息をついた。

後日送られてくる合格通知と証明書で、90点取れていたことがわかった。

満点ではなかったけど、納得の範囲だった。

 

まとめ

ADHDでも簿記は受かる。

もちろんそれぞれ特性はあるので、みんな確実に受かる!というわけではないが、不得意なものでも自分の特性を理解して、それにあった方法であれば、ある程度なんとかなるんだなという自信につながった。

気合いとか頑張るとか努力するとか、そういうものは大嫌いだけど、勉強というものがどういうものかわかったし、知らないことを知れたのはとても大きかった。

 

これからどうするか

3級に受かった。

じゃあ2級行ってみる?

それはまた別のお話。